ここ数年、香川と岡山の間の瀬戸内海に浮かぶ島々が、芸術の島として脚光を浴びている。
直島を訪ねた友人から素晴らしかったとの話を聞き、是非行きたいと思っていたら、今回隣の豊島(てしま)へ行く機会を得た。
乗り込んだのは高松発直島経由豊島行きの小さな高速船。
一番前の操舵室の後ろに陣取り、55分の船旅を楽しむ。
10:00着、用意して頂いていたバスに乗り込み、島内の何カ所かの美術施設を巡る。
ただ、島内の美術館の内部は殆どが撮影禁止。
仕方がない、その周りの景色を収めるしかない。
意外と題材は多い。
新しい施設や芸術作品が島の暮らしの中に見事に溶け込み、違和感なく調和している。
積み上げられた古いのか新しいのかわからない錨。
これは作品ではない。
このおいさん達も演出している訳ではない。
美術館へ行く途中の何気ない光景だが、惹かれるものが多数。
小さなひなびた漁村から、海岸へと続く道。
海岸に出ると小さな美術館に着いた。
心臓音のアーカイブと題された、様々の人の心臓音を集め聴かせる美術館。
裸電球一個の真っ暗な闇の中で人の心臓音を聞く。
生の証し。
登録すれば、自分の心臓音を録音し、聴くこともできる。
これも作品ではない。
バスに乗り込み、小さな峠を越え、山を下ると土の中に現れた白い不可思議な建物。
豊島美術館。
受付も館も売店も土の中。
館に入る為には、遊歩道をぐるっと回らなければならない。
小さな島に広がる棚田が見える。
そして、海。
すべてが美術館の一部なのだろう。
広さは40×60m、高さは4.5m。
コンクリートのシェル構造で、もちろん空間に柱は一本もない。
ここも撮影禁止なので、インターネットより内部の画像を頂いた。
内部は不思議な世界。
ホワイトコンクリート の白と柔らかなグレーの世界。
2ヶ所の円い穴より差しこむ光と青空、そして鳥の囀り、他には何もない。
よく耳を澄ますと微かに波の音が聞こえた ような気がする。
小さなピンポンの様な卵より、水がぽつんと湧く。
それが大きくなると、生きもの様にすっと移動する。
水玉が固まって動くところは、風の谷のナウシカの王蟲の移動を想像してしまった。
一箇所には溜まりがあるが、それも移動するのか?
みなが寝そべったり、膝を組んだり、思い思いにこの静かな無の世界を楽しんでいた。
老鶯の静寂毀せり水の如
TO BE CONTINUED・・
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