その橋は、鍵のかかった一般の人は通行できない林道の終点にあった。
ヒグマが普通に生活する、人間の生活圏外のとても危険な場所でもある。
旧国鉄士幌線の、音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられた橋。
人造ダム湖である糠平ダムが建設され、周辺が沈み、橋梁のみが湖の中に残されてしまった。
水の少ないこの時期には、湖底を歩いて橋を一周できる。
大雪山系の雪渓を抱いたウペペサンケが美しい。
ダム湖内に放棄されて68年の歳月。
当地はマイナス30度にもなる極寒冷地、内外から劣化が進行している。
タウシュベツ橋がアーチ橋として、繋がっている姿を見られるのは、あとわずかな時しかないのかもしれない。
崩るるにまかす橋梁慈悲心鳥
くずるるに まかすきょうりょう じひしんちょう