九州の山で出会った人達は、祖母山が良いと口をそろえて言う。
いつかは祖母山と思っていたら、会社のメンバーで行かないかとの誘いがあり、二つ返事でOK。
9/14八幡浜発0:20の別府行きフェリーに乗船、4:30まで船内休憩し宮崎の五ヶ所の北谷登山口を目指す。
以前に大分の尾平からの計画を練っていたが、距離的、時間的には宮崎からのコースが易しいらしい。
舗装をしていない林道を上るが、前後に出会う車がなかったので、三連休と言えど少ないのかなと思ったら駐車場は満杯状態、二段目に駐車したが、三段目の駐車場まで一杯になったようだ。
装備を整え、8:00に急攀の続く風穴コースと、ゆるやかな千間平コースに二人づつに分かれて登山開始、標高は1080m。
風穴コースから登り、千間平コースの周回を選択。
いきなり渓を渡り、岩場を越えて行くこのコースは何度もロープや梯子を使う難易度の高いコース、殆どの人が千間平コースをとるのがよくわかった。
祖母山は岩の山で、3分の1地点にある風穴も大岩の裂け目、梯子をおりて中を覗くが何も見えない。
風は全く感じられなかった。
祖母山は原生林の残る奥深い山という印象を持っていたが、登山道は背丈を越えるスズタケ=クマザササの一種に覆われている。
かき分けかき分け登るが、顔にあたるので腰を低くして歩いて行かなければならない。
日本一整備されていると言われる石鎚山とは雲泥の差だが、逆にそこが祖母山の良さなのかもしれない。
いろんな秋の山野草を期待していたが、シコクママコナとアザミの他にはあまり見ることが出来なかった。
リンドウも見かけたのは3株のみ。
ブルーに輝く虫を見つけたが、祖母山固有の種類だろうか?
名前はわからない。
稜線に出てもスズタケの中を歩くのは変わらず、あと20分くらいかなと思っていたら、すぐに山頂に着いてしまった。
10:15着、山頂はまぁまぁ広く、20人くらいの老若男女が食事をとっていた。
祖母山の由来は、神武天皇の祖母「豊玉姫」が祀られていることから名付けられたらしく、その祠の前で食事をとることにする。
霧が沸き立ち眺望はそんなに良くなかったが、阿蘇山やくじゅう連山他を望むことが出来た。
彼方に天草だろうか?海と島がはっきりと見える。
食事をすまして、雄大な眺望に見とれ40分ほどくつろいでいたが、千間平コースの二人がなかなか現れない。
標準コースタイムからすると、自分たちより25分ほど早く着いてもおかしくはないと話していたら、9合目から電話が入り、あと20分はかかるとのこと。
ということは、まだ小一時間は山頂に留まらなければならない。
普段は珈琲等の用意をしているのだが、初めての山なので極力装備を押さえている。
同行のbumisanと思案、二人とも物足りなさを感じていたので下山ルートを変更し、3つの山を越える少しハードなコースをとることにする。
標準コースタイムは4時間50分、少し二人を待たすことになるかもしれない。
11:15、二人が到着してすぐに出発。
のっけから切り立った崖である。
崖は上りよりも下りの方がはるかに怖い。
そしてガレ場、ロープや梯子を伝い時間をかけて下る。
地形図や所要時間から、このコースのハードさが想像できたし、すれ違う人は誰もこのルートをとったことがないとのこと、正確な情報が掴めなかったので、二度ほど立ち止まって引き返すかどうかの相談をするが、体力的には十分な余裕があったので、予定通り進むことにする。
標高差250mを一気に下り、天狗岩、烏帽子岩を横目に障子岳を目指すが、背丈を越えるスズタケは相変わらず、うっとうしいことしきり。
途中には大規模な崩落の痕、この3m四方の大岩がごろごろ落ちてくる様を想像すると、空恐ろしいものがある。
障子岳山頂12:40着、4人の年配の方達が出発するところで、黒岳まで行くとのこと。
稜線の歩きやすい道らしい。
眺望はまぁまぁだが、祖母山は雲がかかって見えない。
聞いたとおりここだけはスズタケは茂ってなく、気持ちの良い尾根歩き、祖母山で一番歩きやすい場所かもしれない。
少しの白骨林も見受けられたが、石鎚山系のような見事なものではなく、山毛欅も小降り。
親父山山頂13:07着、4人の方より先に出発する。
親父山から黒岳は何カ所かの小さな崖を越えて行くルート、黒岳山頂13:40着。
ここでわずかの休憩をとり、一気の標高差500mの下りに備える。
距離にして1800m、地形図からハードさが容易に想像できる。
祖母山をカメラに収め、肩にかけていたカメラをバックにしまい、準備完了。
(以降はbumisanの写真を拝借 )
まずはWのストックなしでは、下りる自信が持てないほどのスズタケの急斜面、現れる木に飛び込むように体を預けながら下る。
かなり下った気がしたがbumisanのまだ5分の1しかおりてないという声に意気消沈。
次には急斜面のガレ場、涸れ沢、滑るので慎重にルートを選びながら下る。
道に迷うことが一番恐いので、赤テープの目印を確認しながら進むが、ケルンもけっこう積み上げられており、そういう意味での不安は少なかった。
最後には大岩を越えながら渓を進む。
ロープはあるものの、どうすれば滑らずに越えることが出来るか悩む場所もしばし。
渓谷沿いの小径に出たときに、やっと安堵しペースをあげる。
北谷の登山口に15:05着、祖母山から3時間50分。
二人をずいぶん待たせたかなと気になっていたが、10分も違っていなかった。
本日の温泉 臼杵ふれあいの湯