2019年12月5日木曜日

雪の笹倉湿原Ⅱ





石鎚山系の山中にひっそりとたたずむ神の庭、笹倉湿原に雪が降るのを待っていた。
今年は暖冬らしく11月の終わり近くになっても雪が降らない。
スカイライン閉鎖前日の金曜日土小屋付近に初雪の便り、嬉々として装備を整える。
雪を期待して訪ねたのは6年前と同じ11/30、前回は70㎝近くの積雪だった。





標高1300m付近より熊笹にわずかに雪が付く。
うっすらと雪のある湿原の景に期待が膨らむ。




以前ランスケ氏に聞いていた、湿原近くのトトロの洞にも寄ろうと思っていた。




やぁー屋久島のウィルソン株を彷彿させる見事な洞、ここを訪れる人は年に何人いるだろうか。




笹倉湿原は思い描いていた光景が広がっていた。
ウマスギゴケにうっすらと雪が積もり、苔の際には霜柱が光っている。

















周囲を何度も巡り、いろいろな造形を見つけてはカメラを向ける。













昼食をとり珈琲を飲み、誰も来ないゆったりとした時を神の庭に憩う。





春まではもう誰も来ぬ神の庭

はるまではもうだれもこぬかみのにわ



2019年11月4日月曜日

静かな紅葉の森2019





今年も中津明神山~猿越山への天空の林道を歩く。
ただ山の天気だけは思うようにならない。
入口の吾川スカイパークから望むお山は曇り空、頂上に近づくにつれ風が出て霧が立ち込めて来た。




歩き始めてからもずっと霧の中、明神山頂からの雄大な景色は望むべくもない。
晴れ間への時間を稼ぐためのコーヒー休憩、そして猿越山での昼食中も晴れる気配はなく、あきらめて帰ろうとしていた時、太陽の光がかすかに差し込んで来た。




眼下にはオブラートに包まれたような柔らかい紅葉の森。

















今年も独り占めの静かな森。






秋深しオルソンさんの土の笛

あきふかしおるそんさんのつちのふえ



2019年10月23日水曜日

御崎馬





宮崎の最南部に位置する都井岬には、野生の馬が約100頭前後生息している。
岬は560ha程の広さがあり丘陵が広がっている。




扇山と小松ケ丘の小高い山を、上って下ってくまなく探してみたが全く姿が見えない。
10月の半ば過ぎというのに今年は暑いまま、そのせいなのか?
見つけたのは朽ち果てていくままの骸と、白骨化した骨。
全てが自然の成り行きのまま。




小松ケ丘のピークを反対側に下って行くと、扇山の尾根筋にやっと数匹の群れを見つけた。
引き返して山を下りその尾根筋を上りなおす。
野生の馬は危険、刺激しないように迂回し遠巻きにシャッターを切った。








友達でなくなりし日の草虱

ともだちでなくなりしひのくさしらみ


2019年9月7日土曜日

白滝&不動滝





故郷・大洲市白滝には二つの滝がある。
白滝と不動滝、白滝は昔からの観光地、俳号 瀑 の由縁である。




秋の長雨による水量の多い白滝を、久し振りに訪ねてみた。







白滝の中で一番美しいのはこの雌滝、ただ水量が多すぎて飛沫が凄まじく、どうしてもレンズに水滴が付いてしまう。
場所的に三脚が構えられなく、手持ちではこれが限界。













手持ちのブレが悔しくて、脚立を持って一週間後に再度チャレンジしたが、水量による差は歴然。







もう一つの滝、不動滝は地元の人にしか知られていない場所。




修験道で幅広く信仰されている、不動明王が祀られている。







昼なお暗く、人に会うことの滅多にない神秘的な滝。





三つ目の壺は旱へ放つ龍

みっつめのつぼはひでりへはなつりゅう



2019年8月3日土曜日

蛇淵





仁淀川水系の高樽川上流に、にこ淵にも勝る淵があると聞いていた。
蛇淵というらしいが、詳しい情報はどこにも載っていない。




下流の集落で散歩中の古老に聞いてみたら、人の寄り付かない淵があると聞いてはいるが、はっきりとは知らないと言う。
取り敢えず上流部を目指し、見当をつけて探してみた。




そこは苔むした、誰も来ない静かな淵だった。
















狭い渓筋に差し込む光は、時に強く時に弱く、淵の色を刻々と変えていく。




苔を傷つけないように、慎重に左岸の崖をよじ登り上部を覗いてみた。
上をおん蛇淵、下をめん蛇淵と言うらしい。







蛇淵という名の謂れはわからないが、近づかないほうがいい場所なのかもしれない。





龍神を鎮めよ千の夕菅よ

りゅうじんをしずめよせんのゆうすげよ